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「チームのあるべき状態」と「そのための施策」に関するメモ

エンジニアリング組織についてまだまだ勉強していきます。

過去に、リーダーはどうあるべきか、マネージャー・管理職はどうあるべきかについてはふわっと勉強してみました。

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今回は、視点をちょっと変えて、組織の生産性について勉強します。 組織の生産性を最大化するためにどんなことに気をつければよいか、その時のマネージャー・プレーヤーの立場からやるべきことはなにかについて勉強します。

参考にしたのはこちらです。

本書のテーマとしては「心理的安全性」について、主に書かれています。 今回はその「心理的安全性」を踏まえて、良いチームの状態とはどういう状態かについて勉強していきます。

良いチームの特性

良いチームの特性にはどのようなものがあるでしょうか? 本書から引用するとこのようになっています。

  • チームの「心理的安全性」(Psychological Safety)が高いこと
  • チームに対する「信頼性」(Dependability)
  • チームの「構造」(Structure)が「明瞭」(Clarity)であること
  • チームの仕事に「意味」(Meaning)を見出していること
  • チームの仕事が社会に対して「影響」(Impact)をもたらすと考えていること

この5項目はGoogle社内での"Project Aristotle"の結果によるものだそうです。 中でも特に重要なのが、心理的安全性です。 早い話が、チームメンバーが互いに安心して何でも言い合える状況になっていることが、チームの運営において最も重要としています。

優秀なマネージャーの8つの特性

上記のような生産性が高いチーム状態を維持するには、マネージャーは非常に大きな役割を担っています。 googleの社内調査"Project Oxygen"の結果から、優秀なマネージャーの特性は下記のようなものだとされています。

  • よいコーチである
  • チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な監督・干渉)はしない
  • チームメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている
  • 生産的で成果主義である
  • チーム内の良き聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている
  • チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている
  • チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている
  • チームのメンバーにアドバイスできる専門的技術・知識を持っている

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こういった能力を持っていることが良いマネージャーである条件だと考えると、メンバーのキャリアを重視しつつ、そのキャリアをサポートする技量とコミュニケーション能力が重要ということがわかります。

プラクティス

ここまでわかった上で、最後に気になるのは"じゃあどうやってやるの?"って点だと思います。 まあ、具体的な良いチーム・マネージャーの特性がわかるだけでも価値はあるんですが、組織のアクションに組み込まないと何も変わりません。 人間の意識を変えるだけでもそれなりに意味はありますが、意志の力は弱いので、できることなら仕組み化して無意識に良いサイクルを作っていくことが望ましいです。

ということでこの辺を参考に、実際に組織の仕組みに組み込むときの方法を見ていきます。

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組織サーベイ

まずは、今の組織がどんな状態にあるかを知ることが大事ですね。

組織サーベイは、メンバーが会社やチームに対して、どんなことを感じているかを可視化する方法です。 Googleが実践する「心理的安全性」の高いチームを作るためのマネジメント手法【5選】 | SELECK [セレック]

特に心理的安全性できような、外から把握しにくい指標を相手にするので、今の状態や何かしらの施策を打ったときにその効果を測定できる環境を整備することが重要です。 まずは己を知るところからですね。

組織サーベイを行うためのサービスとしては、Culture Ampなどが代表的なものとしてあるようです。

OKR

日本語でOKRを表現すれば、「目標と、その目標を達成するために鍵となる成果指標」になるでしょうか。 Googleが実践する「心理的安全性」の高いチームを作るためのマネジメント手法【5選】 | SELECK [セレック]

心理的安全性という観点でのポイントは、組織の目標と個人の目標がリンクすることでしょう。 自分の目標達成が、社会に対してのインパクトにつながっていることを理解することは、メンバーのモチベーションに影響します。 また、組織の目標についてチームで共通認識を持つことで、共通の価値観を醸成できるので、行動の拠り所を作ることができ、健全な議論を醸成する効果も期待できるでしょう。

OKRの考えに基づいた組織の目標設定については過去に記事を書いていますので、そちらもご参考ください。

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1on1

1on1はメンバーのキャリアに沿って日々の業務の良かったこと・悪かったことなどを話したりします。 チームの中ではなかなか発言できない人でも、1on1になれば話さざるを得なくなるので、そうしたところで心理的安全性の状態を把握し、改善するための細かな施策を見つけるためにも有効です。

1on1については過去に記事を書いていますので、そちらもご参考ください。

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フィードバック

マネージャーからメンバーに向かうフィードバックは当然として、メンバーからマネージャーへ向かうフィードバックができているところはそこまで多くないのではないでしょうか?

多くの場合、心理的安全性を阻害する大きな原因は、組織的に権限を持った人間にある場合が多く、その結果権限を持たない人間の心理的安全性が損なわれます。 そのため、下から上に向かってフィードバックをすることは、心理的安全性の阻害要因を上の人間が気がつくために必要なことですし、普段からそういったフィードバックが発生していないところでは、360度評価など仕組みとして導入していくことも検討する必要なのかもしれません。

ピアボーナス

 

会社に対する貢献をしたメンバーに対して、「感謝」の気持ちを伝えるための仕組みも重要です。 小さな成果であっても、その成果を誰にでも見える形で共有できるというのは重要なことですし、ささやかながらインセンティブがつくことはメンバーのやる気につながる場合があります。

互いを尊重して、それを誰の目にも見える形で表明できるしくみとしてピアボーナスは重要なのかもしれません。

社内SNS

コミュニケーションを活性化させることが、心理的安全性には非常に重要なのですが、そのきっかけ作りという観点では社内SNSの導入も重要です。 「リアルタイムな情報共有」が強みの社内SNSでは、チーム内での認識齟齬をなくすという点でも有効ですし、顔が見えないという特徴を生かして「全員が平等に会話する場」としても活用できます。

形から入ることは、必ずしも良いことではありませんが、社内SNSがない、あるいは機能していないというところでは、社内SNSの有効活用も検討するに値すると考えられます。

その他細かい取り組み

その他、粒度として細かい取り組みですが、直ぐにできる取り組みについて紹介されていましたので、そちらも列挙します。

  • 話してる人が話しやすくなる雰囲気を作る
  • 全員が発言する朝会をする
  • 立場が上の人が朝会で面白い話題を提供する
  • レビューでは「良い点」についても言及する
  • 問題 vs. チームの意識で前向きに話す
  • リーダーからメンバーに雑談しに行く
  • 定期的に表彰する制度を作る
  • メンバーのお祝いをする
  • randomチャンネルを作る
  • 分報(#times_***)を作る
  • 絵文字リアクションしまくる
  • 「20%の力&80%の質」でレビューGO!! を良しとする
  • ひとつでいいので「チーム内で1番!」を作る
  • チームメンバーの「チーム内で1番!」に頼る

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心理的安全性についての取り組みは何も大掛かりなことをする必要はありません。 マネージャーが上記のようなことに取り組むだけでも少しずつ変わっていきます。 明日からでも取り組んでみてはいかがでしょうか?

参考

その他、Googleが行った社内調査による、あるべき働き方についてはこちらのサイトにまとめられています。

rework.withgoogle.com

組織に関してだけでなく、人材育成や採用などについても書かれているので、興味のある方は目を通してはいかがでしょうか?

感想

今回は、チームはどうあるべきかという点で勉強してみました。 組織・チームの中で自分の果たすべき役割は変わったりしますが、その違いを見極めてあるべきチームの状態に持っていくためには、理想のチームの状態を知る必要がありました。

社会人になると、ほぼ間違いなくチームワークは必要になり、組織として生産性を最大化するための行動が求められます。 そのときの生産性に寄与するパラメータには、見えにくい心理的なパラメータがあることも事実です。 そうした、見えないパラメータを最適化して、目に見える生産性を最適化していくことが求められる点が難しい点ですね。

これ関連で調査しているときに、北風と太陽の話を思い出しました。 「心理的安全性を大事にしよう!」といくら言っても、メンバーはどう動いてよいかわかりませんし、それでオープンな組織ができるなら苦労はしません。 それなりの組織であれば心理的安全性の重要性は理解していますが、それでも一部のチームしか実現できていないのですから。

心理的安全な状態を構築するための方法をどれだけ理解していて、それを実践できるかがポイントになってきている気がします。 きっと世の中のマネージャーの方々も、こういった問題に取り組んでいるかと思いますが、心理的安全性の重要性をメンバーに解くだけでなく、「気づかない間に心理的安全性のあるチームにするための方法」を学ぶことがマネージャーに求められていると感じました。