最近、個人的に組織に関するお勉強中で、こちらの本を読んでみました。

最高のリーダーは何もしない―――内向型人間が最強のチームをつくる!
- 作者: 藤沢久美
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらの本を読んで、個人的には今必要なリーダー像って本当に「何もしないリーダー」なのか?と疑問になりました。 その頭の整理の記事です。
tl; dr;
- ビジョン型リーダーシップが今のところ有望
- Why:現場レベルの意思決定のスピードが要求されているから
- What:ビジョンを伝え、浸透させることに注力するリーダーシップ
- How:
- ビジョンを伝える
- ビジョンを浸透させる
- 必ずリーダーがやらないといけないこと
- 魅力的なビジョンを作る
- ビジョンを浸透させる
「最高のリーダー」と「何もしないリーダー」
記事のタイトルの回答をするなら、
何もしないわけではありません。
一応この本にも書いてありますね。
だからと言って、現場にすべて任せればいいかというと、そうではありません。 メンバーが個別の判断を下すよりどころーーーすなわちビジョンを伝えるのは、ほかの誰でもなくリーダーの仕事です。 最高のリーダーは何もしない―――内向型人間が最強のチームをつくる!
これを吐き違るとどうなるか、考えてみます。
「何もしないリーダー」が組織を潰すまで
世の中の「何もしないリーダー」は大概、意図して何もしないのではなく、何もできないことが多いです。 年功序列型の日本の企業文化では、業務を引っ張る能力があろうとなかろうと、人間的に優れていようとなかろうと、一定の年次で一定の階級まで昇格します。 その仕組みによって、給料は多いけど仕事はできない人間が会社の管理職としてたまった結果、企業競争力が下がっていく。というのはよくある話です。
さて、こうしたリーダーとしての役割を要求されている方々が、「何もしない」とどうなるでしょうか? まず、部下に対して指示は降ってこなくなります。 これによって、現場は少なからず混乱します。 自分で判断して行動しようにも、行動の根っこにあるビジョンすら示されていないため、声が大きい現場の人間の意見が先導して行動することになります。
こうして、ビジョンがないまま現場レベルで行動を起こすと、組織の末端では村社会が形成されるようになります。 そこでは、主張が強いだけで権力を持たない「なんちゃってリーダー」を中心にコミュニティが形成されていきます。 しかし、組織の制度上はピラミッド型の組織が形成されている、いびつな構造になっていき、組織はカオスになります。
現場レベルでリーダーシップを発揮している人間は、やがて自分の仕事とその責任に対して報酬が釣り合ってないことを感じるようになります。 上司がやるべきことをやっていなければ、なおさらです。 特に、昔と違って今は人材が移籍することに対して寛容になってきているので、「裏切り」という認識は少なくなっています。
そうやって、現場は混乱し、優秀な若手は会社を辞め、残った「給料は高い老害」だけでは組織を回せなくなって、やがてその組織はつぶれていきます。
最高のリーダーの定義
求められる背景
社会の動きが速い。これにつきます。 特に、俗世間からかけ離れているリーダーには、現場の声が届くまでに時間がかかります。 しかし、昔ながらのトップダウン型のリーダーシップに固執していると、社会の変化に適用するのにものすごく多大な時間を要します。
理想的には、現場が自分の判断で行動し、その判断がトップから下したものを一致している、そんな状況が望ましいわけです。
リーダーシップの目的
こうした状況を踏まえて、リーダーシップの目的を考えてみると、現場が自分の頭で行動していくための環境を作ることがリーダーシップの目的だといえます。
リーダーに必要な能力
じゃあリーダーがやるべきことって何か? こんな感じです。
- 組織の構成メンバーが自分の頭で動くための魅力的なビジョンを作ること
- 作ったビジョンを構成メンバーに伝達・浸透させること
これらを実践するためのリーダーとしての適性は、
- ビジョンを作る能力
- ビジョンを伝達・浸透させる能力
であると言えます。
リーダーが何もやらなくてもいいんじゃないんです。 ただプレーヤーとはやることも、考えることも異なるので、「プレーヤーのものさしで見ると何もしてないことになる」だけです。
ビジョンを作る能力
上で、ビジョンを作ることがリーダーの役割だと書きました。 具体的にはその能力はどういったものになるんでしょうか?
調査・相談しつくした後に、最後に直感に頼ること。 考えつくしてください。考えつくして、もうどうしようもなくなって、それでも不確実な選択肢に対して、直感を使用しましょう。
個人的に思うのは、絵を書く能力かなと思ってます。 グラフィカルに物事を表現できる能力は、頭の中のビジョンを外に出して客観的に見つめるためには必要な能力だと思います。
ビジョンを浸透させる能力
作ったビジョンをもとに、現場で考えて行動してもらうには、ビジョンを浸透させないといけません。 この本では、いろいろテクニック的なものが紹介されていますが、その辺は本読んでくださいな。
何はともあれ必要なことは、「ぶっちぎるほどの対話力」だと思います。 雑談ではありません。組織のビジョンを末端にまで浸透させるために、とにかくビジョンについて対話をしましょう。
形式は様々です。ですが、一回話したくらいで浸透するようなものではありません。 何度も何度も、根気強く対話して、行動原理にまでしみこませる、そんな対話力が必要です。
否定的な人間もいるでしょう。 うわべだけの会話になる人もいるでしょう。 ただ、組織とは人の集まりです。 そういった異常分子を改善することからは、どうあがいても避けられません。 それができないようなら、結局ビジョンは絵にかいた餅にしかならないんでしょうね。
感想
参考にさせていただいたこちらの本、タイトルだけ見るとちょっと誤解を招きそうですね。 まあ人の目を引いてなんぼなんで、仕方ないです。
「何もしないリーダーシップが一番!」とか言っているアホは、大概本当に何もしません。 「社内の手続きだけやって、現場仕事は丸投げ」みたいなことになっていたら、それはビジョン型リーダーシップではなく、単なる役不足です。
そうはなりたくないものですし、当事者として「何もしないリーダー」にかかわるのもまっぴらごめんですね。 出来れば、「最高のリーダー」と継続的にお仕事したいものです。