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1on1ミーティングのすすめ

ここ何年かで、IT業界中心に広がってきている1on1ミーティング。 最近まで、自分のチームに新卒の方がいたというのもあって、「教育もモダナイゼーションしていかないとなあ」なんて思ったり。。。

ってことで、ちょっと興味あったんで、こんな本を読んでみました。

シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―

シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―

ということで、今回は1on1ミーティングのポイントに関するメモです。

5W1Hで1on1の自分用まとめ

What:1on1 ミーティングとは

1on1ミーティングについては、本書の冒頭の一文ではこんな感じで表現されています。

1on1ミーティング(以下1on1)とは、上司と部下による1対1の定期的な対話の時間です。一般的な面談との大きな違いは「これは部下のための時間」だということです。 シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―

Why:なぜやるのか

基本的には、社員のモチベーションの維持・向上を目的とします。

最近の、特に若い方には「成長欲求」のようなものが強いように見えます(私にはありませんが)。 自己実現のための行動に対して第三者的な目線で気づきを与えることは、本人が自己実現する上で非常に重要な役割です。 こうして、成長->やる気->成長->…のサイクルが形成されると、部下のモチベーション向上に一役買うことができるはずです。

ところが、古き善き日本の評価制度では、上司との公式な面談なんて年に2回の年間評価の際だけ、なんてところも多いかと思います。 これ以外では通常業務でのコミュニケーションになるので、業務連絡の打ち合わせくらいでしょうか。 これでは、社員は自分自身で自分の成長に向けた計画・行動をしていかなければならず、それが組織との目標からそれたときには、「頑張ったけど報われない」という負のスパイラルに陥ります。

こうした、悪い流れを断ち切る意味でも、定期的に社員の成長のためのミーティングを持つ意義がどんどん強まっており、 1on1ミーティングをやったほうがよいということになるのです。

Where:雰囲気作り

どこでというとどこでもいいんですが、雰囲気は和やかな方がいいですね。 場所というよりは、空間づくりが重要なんです。 特に未来のことを語るつもりなら、開放的な空間で行うほうが、心理的に効果的です。 部屋に軽食やお菓子があっても良いかもしれません。 逆に重たい話を聞く際には、場所は閉鎖的な空間のほうが望ましいかもしれません。 そこまで踏まえて空間をデザインすることもポイントになります。

深層心理を引き出すことを意図してやっているので、それが出しやすければカフェでもファミレスでも、食堂でも会議室でも良いのではないでしょうか? とにかく、結果として部下が上司に話したいことを話すような雰囲気を作ることができていることが大事なようです。

Who:誰と誰がやるのか

上司と部下で実施することが基本になります。 客観的・第三者視点で行うキャリアカウンセリングともまた少し毛色が異なるので、ここは直属の上司と部下が望ましいでしょうか。

一応、横向きの1on1(ランクが同じ)も効果があるようなことは書いてあります。 1on1される側が客観的に振り返りの機会を得られることが大事みたいですね。

When:頻度

良好な関係が築けている部下であれば月に1回、そうでない、関係があまり築けていない場合には月に2回を目安にやることが推奨ですね。

あとは、スケジュール調整については最初のうちは上司主体でやったほうが良いみたいです。 部下に任せるのではなく、上司が三ヶ月など長期のスケジュールに入れるようにしてください。

How:進め方

目的と概要がわかったところで、どうやってやるかです。 これが一番難しく、効果がでるかどうかは進め方にかかってます。

進め方の全体像としてはこんな感じらしいです。

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大きく信頼関係づくり成長支援の2つのステージがあるとしています。 信頼関係づくりは毎回行い、成長支援はその時々に応じて会話する内容を変更します。

信頼関係づくり

ここでは毎回の1on1で話すべきことになります。 まずは、相互理解のためにプライベートのことを話していきましょう。 雑談でも良いので、上司主導で普通は聞きにくいことを話すことがポイントです。

次に健康状態の確認です。ここでは、硬くならないように注意しながら、寝れているか、疲れていないか、業務量は適切かなどを確認します。場合によっては別で業務量の調整等を行うことが望ましいですね。

そんでもって、モチベーションの確認です。 今なにに興味を持っていて、どんなことが煩わしくて、価値観はどこにあるのか、などを確認します。 この辺で仕入れたネタを業務で調整できることが望ましいですね。

成長支援

業務・組織課題の改善

基本的に、1on1では業務の話は主目的ではありません。 しかし、それがまるっきりダメだというわけではありません。

対象にすべきテーマとしては、こんな感じになるかと思います。

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こんな感じで、中長期的な視点での、業務や組織についてのぼんやりとした課題について話すことについては、1on1は効果があります。 これによって、上司も放っておいたら発生したトラブルを未然に防ぐことができるため、お互いに嬉しいことになります。

目標設定/評価

通常の会社であれば、評価制度があるところがほとんどかと思います。 そして、評価制度というのは、往々にして納得感のないものになりがちです。

これは、年次評価のタイミングで突然部下に対する評価が下されることが非常に多いからです。 常日頃からフィードバックを行っていて、それに対する改善をした結果を評価されれば、部下としても納得感のある評価となっていきます。

そういった意味でも、1on1を活用することが有用です。 1on1で意味のある目標設定を行い、それに対して短いサイクルでフィードバックを行うことで、目標やそこへ向かうプロセスに対する承認を行うことができ、本当に意味のある評価制度になります。

能力開発/キャリア支援

よくPDCAサイクルを回すことが社会人には求められていたりしますが、実際にそれを一人で行うのはなかなか難しいものです。 1on1を活用することで、PDCAを上司と一緒に行うことができたりします。

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実際の業務での体験をもとに、まずは体験の振り返りをしていきます。 そして、それを踏まえた抽象度の高い気づきをいっしょになって考えることで、体験を知恵に変えていきます。 最後に、得た知恵を浸透するための施策までいっしょになって考えることで、成長を促します。

また、これを通じて、より遠い将来のキャリアについて考えることを促します。 経験によって少しずつ変化した思考を自分で気づかせることで、キャリアに対するイメージをより具体化させると、日々の業務の中での行動への意識付けに繋がりそうです。

戦略・方針の伝達

あとは、上司から部下に対して行う報連相です。

上司から部下に対する報告というのは、通常様々な情報が削ぎ落とされがちです。 それをあえて、丁寧に説明することで、背景にある状況の共有ができ、部下としても上司の理解促進に繋がります。

読んでて感じたポイント

雑談は構わないが、ゴールへ誘導するコンパスは必要

雑談から話し始めると、確かにコミュニケーションは円滑に進む気はしますが、1on1は雑談になってしまいがちです。 話すことは、部下のその時の状況によりますので、雑談が多くなることは問題ありません。

しかし、表面的な雑談をすることが目的ではないことは頭に入れておかないといけません。 部下の本当に話したいことを引き出すことが目的なので、それを言うように上司は適切にコミュニケーションの舵を切っていくことが求められます。

上司は話し手に回らず、聞き役に徹する

1on1の主役はあくまで部下です。 部下のキャリア、その時の悩みを自己解決して進んでいくために行っている側面があり、必ずしも答えをアドバイスすることも必要ありません。 ですので、決して通常の業務連絡のように、上司から指示を出すようになってはいけません。

1on1では、普段話さないことを話すことになります。 特に、抽象度が高く、中長期的な視点の話を、上司の意見ではなく、部下の口から出させるように誘導していきます。 ゴールへたどり着くのはあくまで部下がやることなので、上司が事前に結論を決めることはできません。 部下が自分のことを自分の言葉で発信することをサポートするのが上司の役目です。 我慢強く、自然に問いかけを行うことが重要になります。

感想

この辺も参考にしました。

www.recruit-ms.co.jp

そのうち自分も1on1する側に回るかもしれないので、この辺を意識してやっていきたいと思います。

あと、本の構成として、非常に読みやすかったです。具体的には、読ませたいところがハイライトされていたので、そこだけ読んでいくだけで内容が把握できるようになっていました。 速読を意識した書き方ってこういう書き方なんだろうなと感じました。。。