最近UXデザインについて勉強し直そうと思って、こちらの本を読んでいました。
買ってみたら想像以上にボリュームありました。 ボリュームありすぎてとてもじゃないけど覚えきれなかったので、今回興味があったリサーチの部分について、読んでみて考えたことをメモしていこうと思います。
サービスデザインとはなにか?
まずは"サービスデザインとはなんぞや?"ってところをさっと確認します。
この本の歴史的背景
この「This is Service Design Doing サービスデザインの実践」という書籍は、「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.: Basics - Tools - Casesー領域横断的アプローチによるビジネスモデルの設計」という書籍の続編の位置づけです。
上記の書籍では、サービスデザインの考え方が中心的に紹介されていたそうですが、今回読んだのはそれをより実際に使用するところにフォーカスして書かれた本になっています。
サービスデザイン is 何?
明確な定義は決まっていないのと、それ自体に価値がないと言うのがこの書籍のスタンスです。 ただ、本書で最もしっくり来たとしているサービスデザインの定義は下記のようになっています。
サービスデザインは、組織がそのサービスを顧客の視点からとらえるのに役立つ。それはシームレスで質の高いサービスエクスペリエンスの創出を目指して、顧客ニーズと企業ニーズのバランスがうまく取れたサービスをデザインするアプローチだ。その根幹にあるのはデザイン思考であり、クリエイティブで人間中心のプロセスを通じてサービスを向上させ、新たなサービスのデザインに取り組む。顧客とサービスを提供する側の双方を関与させるコラボレーティブな手法によって、サービスデザインは組織が自らのサービス全体を正しく認識し、ホリスティック(全体的)で有意義な改善を可能にするのに一役買う。 This is Service Design Doing サービスデザインの実践
繰り返しますが、はっきりとした定義は重要ではないです。
本書では実践に注目しており、理論より実践して体に染み込ませろ、といったスタンスなので。
原則
もともと2010年は原則は5つだったんですが、その後6項目にアップデートされています。
- 人間中心(Human-centered)
- サービスの影響を受けるすべての人の体験を考える
- 共働的であること(Collaborative)
- 多様な背景や役割を持つステークホルダーを巻き込む
- 反復的であること(Iterative)
- 探索・改善・実験の反復がサービスデザインのプロセスであるべき
- 連続的であること(Sequential)
- サービスは相互に関連する行動の連続として可視化・統合されるべき
- リアルであること(Real)
- 現実のニーズを調査し、現実に根ざしたプロトタイプにより、物理・デジタルの実体を持つものとして、その存在の価値を明らかにする必要がある
- ホリスティック(全体的)な視点(Holistic)
- サービスはすべてのステークホルダーのニーズに持続的にに対応するものでなければならない
誤解を恐れず、スーパーざっくり言えば、
様々なステークホルダーを含めたサービスに関わる人みんなの一連の行動を現実に即した形でユーザーが真に求める体験を設計したくて、その際には多様な意見を取り入れつつ、反復的に仮説検証・可視化統合によって行われるべき
ってことだと思います。知らんけど。
実践の12戒
詳細は本書を読んでいただくとして、本書で紹介されている12戒はこちらです。
- 呼び名は何でもいい
- ヘタクソな第一稿を作れ
- ファシリテーターであれ
- 不言実行
- 「イェス、アンド・・・・・・」と「イェス、バット・・・・・・」
- 正しい解決策を見つける前に、正しい問いを探れ
- 実環境でプロトタイピングせよ
- 1つのことにすべてを賭けるな
- 大事なのはツールを使うことではなく、現実を変えること
- イテレーションの計画を立て、改善せよ
- ズームイン、ズームアウト
- すべてサービスである
すべて意識すべきことですね。 詳細は本読んでみてください。この記事読んでる人ならきっと楽しめるはず。 本の目次はこちらの通りです。
サービスデザインにおけるリサーチ
概要がわかったところで、次は実際にどうやってやるんじゃい?ってのを確認していきます。 サービスデザインにおけるコアアクティビティとされているのが、下記の4つでした。
- リサーチ
- アイディエーション
- プロトタイピング
- 実装
これらはあくまでアクティビティであり、これらだけをやればいいというわけではありませんし、実施する順番が規定されいるわけでもありません。 アイディエーションして行く中で新しい観点が見つかってリサーチを実施したり、プロトタイピングを実施してる際に問題が見つかってアイディエーションを実施することもあります。 これらを参考に実際のビジネスや状況に合わせて柔軟に変えていくことが求められます。
今回は、多くの場合最初に実施するリサーチについて確認したいと思います。
リサーチ
サービスデザインでは、リサーチは人々とそのモチベーションや行動を理解するために活用される。 This is Service Design Doing サービスデザインの実践
実際のサービスをどんなものにするかを考える前に、まずはサービスのユーザーについて深く知ることが最初の一歩になります。 サービスに関わる人々が、どんな行動や体験をしているかを調査するのがリサーチということになります。
手順としては、下記のようにリサーチ計画と実際のデータ収集〜キーインサイトを引き出すところまでを、イテレーションで繰り返すことが想定されています。
リサーチ計画
リサーチを行うにあたり、はっきりさせなければいけないこととして、リサーチの範囲とリサーチすべき課題があります。 リサーチには探索的調査と仮説検証的調査に分けられます。またリサーチ対象についても、対象は既存のサービスと新規のアイデアに分けられます。
これらのどれがリサーチの対象になるかで、調査の方法や視点が変わってくるので、プロジェクトとしてどこに該当するのか考える必要がありそうです。
調査は、定量評価と定性評価に大別できます。 これらはどちらのほうが大事というものではなく、どちらも下記のような異なる知見を得られるため重要となります。
- 定量評価: 「何」と「どうやって」を知る
- 定性評価: 「なぜ」を知る
定量的に測れるものは定量的に数字で把握しつつ、裏側のメカニズムを定性評価で探っていくような形になります。 既存のサービスの枠の外のことを調べようとなると、仮説検証を行う必要もあるでしょう。 そういった場合には、実験を行いながらデータを取得していくことになりそうです。
データの収集
データは、定量評価に直接使用できるような統計的データだけでなく、画像や動画、テキストなど、様々な形があり得ます。 いろいろなタイプのデータによって、結論の裏付けが可能なことがあるため、より多角的な視点で評価するためにもさまざまなデータが対象になります。
得られたデータにも、1次情報と2次情報があり、客観的な1次情報だけでなく、比較的簡単・低コストで得ることができる2次情報も取得した際の解釈が含まれることを念頭に置きつつ使用されます。 こうしてデータを整理しながら、多くのデータを収集していきます。
手法
どうやってリサーチを行うか、手法については下記のようなカテゴリに分類できるらしいです。
- デスク調査
- デスクで発生するデータを取得する
- セルフエスノグラフィアプローチ
- 体験を掘り下げて、実地調査記録や音声・写真などを含め、文書にまとめる
- 参与アプローチ
- 対象者に関わりつつユーザーを観察したり、インタビューしたりする
- 非参与アプローチ
- 対象者に関わることなくユーザーを観察したり、オンライン上での行動を観察する
- 共創ワークショップ
- 参加者のノウハウを生かして情報を抽出する
必ずしもデスクで行うだけでなく、実際のユーザーの行動を観察したり、ワークショップ等で関係者の頭の中にある情報を吸い出すことも有効な手段になるようですね。
視覚化・統合・分析
集めたデータは、そのままでは扱いづらいので、視覚化して俯瞰的に確認できるように構造化します。 構造化の方法の例としては、
- リサーチウォール
- ペルソナ
- ジャーニーマップ
- ユーザーストーリー
など、メジャーなものがあり、これらを参考に適した形でデータを構造化整理します。 構造化された情報から、アイデア創出などでベースにする知見を抽出していきます。
こうした過程で新しく出てきた不明点や、仮説検証のための根拠が不足している点については、再度データの取得と可視化・統合を行って、リサーチのイテレーションを繰り返すことで、リサーチ課題に関する解像度を高めていくようです。
参考文献
この記事を書くにあたって、下記の文献を参考にさせていただきました。
感想
買ってみたら意味わからんボリュームで読むのめっちゃ時間かかりました。 今回は特に触れなかった、アイディエーション、プロトタイピング、実装、そしてそれらのマネジメントについて興味がある方は本書を読むことをおすすめします。
ところで、なんで自分はUXデザインの勉強してんでしょうね?勉強になったからまあいいんですけど、全く何をやってんだか…笑