こんな本を読んでみました。

- 作者: 翁百合,柳川範之,岩下直行
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/09/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読んだ感想としては、小難しい大学の教科書みたいな感じで、専門というわけでも無い私は付いていくのがけっこう大変な難しさでした。
知りたかったのは、「ブロックチェーンがどんな仕組みか」というよりは、「ブロックチェーンによってどんなビジネスチャンスがあるのか」 なので、今回はこの観点でまとめます。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンの仕組みについては今回はあまり気にしていないのですが、それでも概要だけ抑えます。
ブロックチェーンの定義
日本ブロックチェーン協会によると、狭義/広義のブロックチェーンの定義があるらしいです。
狭義のブロックチェーン
「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装をブロックチェーンと呼ぶ。」
広義のブロックチェーン
「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術を広義のブロックチェーンと呼ぶ。」
特徴
特徴も「ふーん」ってレベルで読み飛ばしました。システム的な観点をまとめると下のような感じらしいです。
- 障害に強い
- データの改ざんがほぼ不可能
- 仲介者が介在しないため低コスト
- 複雑な契約が自動化できる
ブロックチェーンつかって何か作るってなったらちゃんと勉強しますw
ブロックチェーンでできること
ようやく本題に入り始めました。 ブロックチェーンでできることを、概念的な観点でまとめると下のような感じです。
- 改ざんが(ほぼ)不可能なデータを残せる
- 記録されたデータをブロックチェーンの参加者は誰でも確認することができる
金融機関のようなお金がかかる堅牢性が必要(止まると色々やばい)システムを分散化しようって話は昔からありました。 しかし、いろんな場所に取引のデータを管理するときに気になるのは、サーバ間のデータの整合性です。 データの整合性を担保することは分散型システムの宿命です。 データの内容が書き換えられてしまったときどうするかを、長年偉い人が考えてきました。 それでも、うまく問題を解決できなかったところにブロックチェーンが登場しました。 今まさに、金融業界ではサーバを分散化しようという動きになっているようです。(ほんまかいな。。。)
また、記録された取引のデータを参加者が参照できるということも重要なポイントのようです。 改ざんされないこととも関連するのですが、参加者には取引されたデータは全て公開されます。 そのため、参加者はその取引が正しいことを誰でも確認でき、誤魔化そうとしてもすぐ発覚するようになります。
世の中はどう変わるか
金融
ブロックチェーン技術が銀行を始めとする金融システムをどう変えるかは、今のところまだ不透明のようです。 はっきり言えるのは、ブロックチェーンが現れたからといって、日本の金融システムが全てブロックチェーンで代替されることは現状考えにくいということ。 少なくとも現状は、ブロックチェーンを使用した即時決済はほぼ不可能と言ってよく、リアルタイム性が求められる機能についてはブロックチェーンは不向きだと考えてよさそうです。 何らかのブレークスルー(例えば量子コンピュータ)でブロックチェーンの取引の確定にかかる時間が劇的に短縮される日がきたら、徐々に変わっていくかもしれないですね。
一方で、多少時間がかかっても問題がない、あるいは初めから時間がかかることを前提にした機能については、ブロックチェーンに置き換えられる可能性が高いと思います。 例えば、国際送金。 SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication SCRL)を使用するため手数料が高く、様々な金融機関を経由するため、取引が確定するまでにもともと時間がかかるようです。 即時性が求められない範囲であり、ブロックチェーンに代替してしまえば、大幅なコストカットにつながりそうです。
他産業
ブロックチェーンの定義にもありますが、ブロックチェーン技術はビットコインに使用する以外にも使用することが可能で、現在でも様々な利用のされ方をしています。
証券
証券に関しては、性能の問題さえ解決すれば導入できそうでした。 現在の約1000倍の性能が出れば、実用化して何ら問題はなさそうです。
あんまり難しいことはわからないのですが、ブロックチェーンの作り方次第で見えて情報だけを分散台帳に書き込んで、 個人情報だけを中央集権型システムでガチガチに管理することで、秘匿性は確保できるようです。
ですので、この分野は最大の壁は性能になりそうです。
貴金属取引
例として有名なのが、「ダイヤモンド取引」です。 ダイヤモンド産業では、所有履歴がその商品の価値を形成しているという変わった特徴があります。
特にダイヤモンド市場は、マネーロンダリングを始めとするブラックマーケットの温床になっています。 取引を改ざんされない形で残すことができれば、ダイヤモンドに関する不正取引や盗難を見破ることにつながります。
その他、特別保護動物の密猟の規制にも応用できるかもしれないそうです。 動物を捕まえても売る段階で密猟が発覚して損するだけになるためです。 これは「へえー」ってなりました。
IoT
この分野もかなり応用できそうです。 CISCOさんの予想では2020年には500億個のデバイスがインターネットにつながるそうです。 それらを使って、「嘘をつけないデータを残す」ことに価値があるそうです。
例えば、「安全運転した分だけ安くなる自動車保険」とかですね。 急ブレーキの回数や走行距離、GPS情報で、安全運転しているかどうかを把握できるため、それに応じて保険料を変化させることができるそうです。
その他、食品の産地偽装なんかもブロックチェーンを使用することで信頼性向上できそうだとされています。
感想
大部分は「へえー」ってなりました。歴史的にもいろいろあったようで、勉強になりました。
要は、「改ざんできない情報」を活用したビジネスモデルが必要なんですね。 そうなると、物やサービス以外に「信用」が価値として乗っかる分野はブロックチェーンが何かしらの形で応用できそうな気がしました。
まだまだ色々課題は多いそうですが、ビジネスチャンスとしては色々あるように感じました。