2024年に入ってから、ひっそりと人生で初めてちゃんとした副業にチャレンジしてみました。 どこかの企業と契約書を交わしてやる「ちゃんとした副業」はこれが初めての経験でした。
半年以上同じ会社にお世話になって副業を続けていましたが、契約も終わってキリが良いので振り返りをしてみたいと思います。
副業を始めた経緯
2023年の年末くらいに受け取った1通のスカウトがきっかけでした。
当時なんとなく受け取ったスカウトを眺めてると、ちょっとだけ気になる事業をされている会社さんがあったので話を聞いてみました。
実際に話を聞いてみると、
- 機械学習関係 (専門の領域がそんなに遠くない)
- 副業で参画する人を探している
とのこと。 ちょうど年末で「来年はなんか新しいことしようかな?」と考えていた時期で、渡りに船といった形だったので副業として入らせてもらうことで話が進みました。
NDAを結んで副業関連の契約書を締結し副業スタートした次第です。
副業するにあたって準備したこと
副業を始めるにあたって最低限やったことは、経費や副業収入を把握できるようにはしときました。
一応やったこととしては、下記のような契約周り・お金周りのことです。
- MoneyForward
- MoneyForward ME (経費の管理、もともとで利用していたのでそのまま)
- 請求書 (請求書発行のため)
- 確定申告 (確定申告、これはもともと利用していたのでそのまま)
- 副業用の銀行口座の用意
MoneyForward
副業での請求書や確定申告まわりのサービスはfreeeかMoneyForwardのどちらかを利用する方が多いんじゃないかなと思います。 自分の場合、もともと家計簿アプリとしてMoneyForward MEを課金して使用していたので、なんとなくMoneyForwardのサービスで固めました。 話を聞いたりネットで調べたりするとfreeeを使っている人も結構いらっしゃるみたいで、どっちを使うか(あるいは別のサービスを使うか)は人に依りけりなのかなと思いますが。
無料版でできることはこちらで確認できます。
ME(収入・経費の記録)
もともとMoneyForward MEをプレミアムで使用しているので、これは引き続き利用しています。 副業の所得や経費の仕分けをしていれば、確定申告時にスムーズになるので個人的には気に入ってます。
請求書
副業などをしたことがない人の多くの人は請求書を発行したことがない人がほとんどなのではないでしょうか?
副業をやっていると請求書を発行して副業のお金を振り込んでもらうといったことが必要になるかと思います。(こういうのを代行してくれるサービスを使って副業をしているならないかも)
自分の場合は副業周りのお金を管理にMoneyForward MEを使っていた関係上、請求書もMoneyForwardのものを使用しました。 テンプレートに従って請求書を作成することができ、過去の請求書の記録を残したりすることができます。 企業として使うとなるともっと多くの便利機能があるらしく有料なんですが、個人で請求書発行をやる際にいろんな機能(例: 毎月自動で請求書を発行する機能)がないという制限付きで良ければ無料で使えます。
多分副業とかやってない人は請求書の作り方もわからないと思うので、そういうことに明るくない人はマネーフォワードやfreeeを使って簡単に発行できるとだいぶ助かります。
(使うのは来年だが)確定申告
もともと転職のタイミングやその他雑所得があったので、ちょくちょく確定申告していてその時からMoneyForward確定申告を利用しています。
普段から家計簿アプリはMoneyForwardを使っていまして、なんなら有料会員でガッツリ使っていたりします。 家計簿アプリの情報から確定申告のほうにデータを連動できるので、経費などのラベルを日頃からアプリで付けておけば確定申告時に困ることはなかったので、こちらは引き続き利用しました。
良かったこと
収入が増える
当たり前ですが、副業をやると収入は増えます。 こちらの動画でも言っていますが、副業すると収入はサクッと増えます。
本業の2〜3ヶ月分を年間で稼ぐレベルなら結構な人ができるんじゃないかなと思いました。
普段使わない技術を扱える
当たり前ですが、副業では本業とは違う会社・違うプロダクトに関わることになります。 会社・プロダクトが違えば、使用してる技術スタックも違います。
実際私も、本業では絶対に触ることがない箇所の開発をやっていたりしました。 新しいことをやるのはキャッチアップが大変なのはありますが、その分良い経験にもなります。 また、個人開発していたら触ることがないような技術・サービスを触ることもあり、その意味でも本業では得られないスキルはついているなという気がしました。
文化の違いを体験できる
会社が違うと、組織の文化も違います。 そういったところで働くと雰囲気の違いにかなり驚くかもしれません。
会議やプロジェクトの進め方も全然違いますし、コミュニケーションの雰囲気やスタイルも全然違います。 コードレビューにおいて本業では受けたことなかった指摘をされたりします。
本業で働いているだけではわからないですが、他社の文化・雰囲気を体験することで、本業の良いところ・悪いところも客観的に見えてきます。 色んな会社の違いを知るという意味では非常に勉強になります。
改めて自分の能力を体感できる
本業では絶対にやらないことをやる関係上、副業をやっていると良くも悪くも自分の能力を感じます。 さらに、本業とは大きく異なる環境のため普段やっているほどパフォーマンスが出せなくなります。
普段は自分が慣れきってしまった本業の組織で過ごしているので、客観的な能力が足りないことに気がつきません。 それが一度本業と全く違う環境に放り出されると「意外と自分はできないんだな」と感じることがたくさんあります。
自分としては、データサイエンス以外のコードが思ってる以上に書けず、世の中で普通に行われてるweb開発の知識が足りないと感じました。 本業で専門性ごとに分かれた組織に属している場合「自分の専門外のことは本当に知らない」状態でした。 特に専門外であっても「やればそこそこできるだろ」と内心思ってましたが、実際やってみるとそんなことはなかったです。
逆に、世間一般から見ると意外とわかってるのかもしれないと感じることもありました。 自分の中では「あたりまえ」みたいに思ってることでも、意外と世間的にはそうでもないんだなと思うこともチラホラあったりして、そういうときには「意外とこのへんは得意なのかもしれない」と感じる部分もありました。
長所も短所も、普段とは異なる環境にいると意外とわからないものなのでそれをフラットに体感できるのは素直に良かったと感じました。
苦労したこと
良かったこともありつつ、個人的にけっこう苦労したこともたくさんあります。
時間の管理
一番は時間の管理はめちゃくちゃ大変です。 当然ですが、平日日中は本業をやってます。 それ以外に人間なので日常生活があって、それ意外の時間を副業に当てているわけです。
しかも細切れの時間でなんとかなる作業なら良いですが、ある程度まとまった時間でやった方が効率的であることも事実です。 なので、本業と日常でやる全ての作業が終わったあとの深夜数時間か、週末の日中にまとまった時間を作ってやるしかなくなります。
個人的にはこのまとまった時間を確保するのが大変でした。 ちゃんとやってみると意外と自分がいろんな事をやっていて、それらをどうスケジューリングするかには結構たいへんだったりします。
頭のコンテキストスイッチの切り替え
脳みそのコンテキストスイッチの切り替えにもかなり苦労した記憶があります。 まとまった時間が取れないと、そんなに大きなタスクでなくても一気にやりきれなくなったりします。 本業と副業で全然違うことをやっていることも多いですし、本業は平日毎日やる一方で副業は一週間のうち数日しか稼働しなかったりするので「前回何やってて、次何やるんだっけ?」という単純なことも意外と頭から抜けてしまいます。
本業の中だけでのコンテキストスイッチの切り替えには意外とエネルギーを使うものですが、本業と副業の間のコンテキストスイッチはもっと大変です。 本業でやっている以上に、自分用の作業記録を詳細に残すなどしてなるべくスムーズに次の作業に入れるようにしないと結構苦労しました。
知らない人とのコミュニケーション
当たり前ですが、副業では本業とは違う会社の人とお仕事をすることになります。 さらに、副業で入っているとその会社の事情すべてを把握するのは事実上不可能です。
こうした中で業務を遂行するコミュニケーションを取るのは意外と大変で、相手が何を言っているのかを理解する能力も、自分が伝えたいことを伝える能力も両方が問われます。 普段コンテキストを理解した人同士の間だと円滑にコミュニケーション取れていても、副業で普段関わらない人とはそうは行きません。
このあたりには結構苦労した印象です。
学んだこと
初めて副業をやってみて学んだことについても振り返ろうと思います。
個人の生産性はまだまだ上がるし上げないといけない
これは本業の方でもそうですが、副業始めると時間管理がだんだんしんどくなってきます。 本業だけやってると、ちょっと残業してタスクを終わらせたりしてなんとかなる部分はたくさんあるんですが、ここに副業が乗っかってくるとうまくやらないと時間が足りなくなります。
時間の使い方を含めて、個人の生産性はもっと高めていかないとなという気になりました。 とくに、他の副業の方は平然と業務を遂行されているのを横目で見ていると、自分はまだまだ生産性が低いし、高めていかないとなと感じます。
体調管理はめっちゃ大事
副業やってて改めて学んだのは体調管理の大切さです。 たとえ1日風邪で寝込んだとすると、その分いろんなスケジュールがずれ込みます。
本業ももちろんそうですが、そこに副業があると人間のスケジュールにあったバッファはかなり小さくなります。 そもそも多忙になりますので体調を崩すリスクは高くなりがちですし、一度体調を崩したときに遅れを取り戻すのに普段以上に苦労しました。
健康であることがいつも以上に重要なんだなと気付かされるきっかけになりました。
忙しいほど知的好奇心は出る
個人的にちょっと意外なんですが、副業で忙しくなったにも関わらず「もうちょっと勉強しようかな」という気になってきました。
技術的な知識ももちろんそうですし、いわゆるビジネススキルみたいな部分でも「こういう場面ってどうするのが一般的に正解なんだろうか?」みたいに考えることもよくあります。 もちろん本業でもこうした振り返りからの勉強というのはありますが、副業で慣れないことをやってうまくいかないことを経験するほどソフトスキル面も勉強しようという気になります。
副業をやりながらなので時間はもちろんないんですが、自分自身の能力的課題認識は広がるなと感じましたし、「勉強しなきゃな」と考えるようになりました。
スキルはまだまだ足りない
他に感じたのはいろんな業務をやっていて「なかなかうまくいかないな」という手応えがない感覚です。 どんな分野だろうとどの会社だろうとどんな人と働こうと、上手に開発を進めていかないといけないわけですが、まだまだそういうレベルではないなという印象です。
普段とは違う環境で結果を求められるという意味では本業より副業のほうがよっぽどシビアで、領域や環境がガラッと変わっても再現性を持って成果を出し続けられるような人間にはまだまだなれていないなという感じです。 いわゆる「どこでもやっていける」という水準のハード・ソフトスキルはまだまだ足りていないなとわかったのは良い学びかもしれないと感じました。
感想
今のご時世副業を解禁している会社も多いですし、特にITエンジニアは他の職種に比べて副業の敷居は低いんじゃないでしょうか。 ITエンジニアをやっていて「なんかスキルの幅を広げたいな」くらいに思ってる人は、副業をやってみるのは悪くないと思います。 時間のやりくりが大変だったり、場合によっては期待値コントロールやコミュニケーションに苦労することもありますが、本業でやっているだけではわからない学び・気付きは得られるきがします。
体力的にかなりしんどかったですが、普段業務でやらないことをお金をもらいながら経験できるのはありがたい限りでした。 直近は時間的・体力な余裕がないので難しいですが、時間に余裕ができたらまた副業挑戦したいなと思いました。