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投資素人がインデックス投資をするべき理由

最近こちらの動画を見てました。


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個人的に、普段は漫画か技術書しか読まないんですが、こちらの動画を見てるうちにたまには全く違うジャンルの本を読んでみようという気になりました。 そんなわけでまずはこちらの本を買って読んでみました。

個人的には結構この本は難しい、というか混乱しながら読んでました。 今回は読むときに自分で補足した情報をや整理した内容などを、頭の整理がてら書いていこうと思います。

投資信託の仕組み

投資信託: 金融商品の選定から運用までやってくれる詰め合わせ

世の中には投資信託という商品があります。

投資信託(とうししんたく)は、多数の投資家から販売会社を通じて拠出された資金を、運用会社に属する資産運用の専門家(ファンドマネージャー、ポートフォリオマネージャー)が、株式や債券、金融派生商品などの金融資産、あるいは不動産などに投資するよう運用を指図し、運用成果を投資家に還元する金融商品[1]。運用による利益・損失は投資家に帰属する。投資信託は第二項有価証券とは流動性のあることで異なる第一項有価証券である[注釈 1]。
投資信託 - Wikipediaより引用

通常であれば、自分が持っている株式や債券を始めとする金融商品を購入し、その構成銘柄の割合などを調整する必要がありますが、手数料を払う代わりにそういった専門的な作業を運用会社に任せる、みたいなのが投資信託です。 (超ざっくりではありますが)

何事でもそうですが、リターンとリスクは表裏一体です。 ある日突然、どこかの企業が業績悪化や大きなニュースなどで株価が暴落することもあるかもしれません。 少数の銘柄だけに投資するとこういったリスクは非常に大きいですが、「ある銘柄がさがっていても他の銘柄が上がっていたり変動していないので、全体としては大きく下がったりすることはない」というように、分散投資しておくことで暴落のリスクはある程度緩和できます。 投資信託ではこういった銘柄選定についても勝手にやってくれているわけです。

購入者はどんな運用方針をとっている投資信託商品を購入するかだけを選べば良く、運用などは運用会社にまかせているので株式市場などを注視している必要がないというメリットがあったりします。(とはいえ自分で買った商品が今どんな値動きをしているかは知っといたほうが良いという話はありますが)

登場人物: 運用会社と信託銀行と販売会社

投資信託の商品の裏には、商品に関わる3種類の会社が関わってきています。

投資信託の仕組み|ふくろう教授の投資信託ゼミナールをもとに作成

投資信託を買う人がやり取りするのは基本的には販売会社で、販売会社で投資信託の商品を投資家に販売しています。 信託銀行は、販売会社で投資信託と引き換えに入金された資産を管理していたりします。 そして、運用会社では投資信託商品の運用方針を決めたり、投資銘柄の選定をしたりします。

調べてみると違った説明がなされていたり、ここに出てこない登場人物がいたりしますが、おおよそはこんな感じの説明になるとおもいます。

運用会社の中にはファンドマネージャーといういわゆるプロ投資家がいて、預かった投資信託の資産を増やすように金融市場で株や債券などあれこれ取引の指図をしています。 また、投資信託にはどういう投資方針で資産を運用(金融市場でどんな物を売り買いするか)を設定することで投資信託商品を作っていたりします。

商品種別: インデックスファンドとアクティブファンド

投資信託はアクティブファンドとインデックスファンドの2種類に大別することができます。

アクティブファンド

アクティブファンドは運用会社のファンドマネージャーの人が独自に銘柄・運用方針を決めて運用していくファンドです。 どんな銘柄を、どんなタイミングで購入して、どんなタイミングで売却するかを独自に決めているわけです。

ファンドマネージャーの人たちが独自に商品を設定しているので専門家の人件費がかかっていたり、運用においても積極的に売買を行ったりと売買を行う人の人件費や売買手数料がかかってきます。 投資信託には信託報酬という手数料みたいなものがあり、こうしたファンドを運用するために必要なコストを投資資金とは別に支払うようになっています。

コストはかかるわけですが、その分その道の専門家集団が運用しているので、投資した資金が大きくなる期待は持てそうです。 また、インデックスファンドのように指数が存在しなくても良いので、指数が存在しないような特定分野に絞った投資ができたりするメリットがあったりします。

インデックスファンド

インデックスファンドは日経平均やS&P500のような"指数"と呼ばれる市場全体の動きを表す何らかの値と連動するようになっているファンドです。

指数は取引所や特定の銘柄群の株価"全体"の動きを把握するために定められた指標です。

株価指数とは、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表すものです。 株価指数はある時点の株価を基準とします。 これによって時系列で見た場合に、連続性を保ちながら、対象とする取引所等の株価の動きを長期的に評価することができます。 株価指数│SMBC日興証券

個別の銘柄だけ見ていてもたくさんの株が買われて株価が高くなっているか、逆に売られて株価が下がっているかは見えないので、特定の集団の銘柄の株価を組み合わせて算出された指数を参考にすることがあります。 言ってしまえば、「特定の市場の平均値」とも見れます。

この指数は、指数を構成する銘柄やその算出方法が明らかになっていたりしているので、その構成比率になるように金融市場で株式などを調達していくのがインデックスファンドになるようです。 こちらは、言ってしまえば株式の銘柄や売買のタイミングに頭を悩ませる必要がないので、アクティブファンドに比べてコストは小さくなる傾向があります。

指数に連動することを目標にしているので、指数以上に大きく上昇したり減少したりすることは基本的にはありませんが、市場自体が好調であればそれに乗っかって資産が増えていくような仕組みになっています。

不都合な真実「プロ投資家の9割は「市場平均」に勝てない」

情報は今やプロ投資家だけのものではない

その昔、市場の参加者の多くは年に数回投資を行うような個人投資家が大多数だったそうです。 ですが、現在では多くの機関投資家が積極的に取引を行っており、結果として現在の市場の99%の取引は機関投資家によるものだと言います。

昔は、個人投資家が持っていないような情報をもとに売買を行うことで利益を上げることができたかもしれません。 株価の上昇に関する情報を一部の人間が知っていれば、一部のプロ投資家が勝ち続けることもできるかもしれません。

現在では情報はインターネットで公開されていますし、多くの情報は個人投資家であっても手に入れることが可能です。 企業の情報へのアクセスの難易度は格段に下がってきていますし、分析の方法も得ることができたりします。 いまや情報を持っているというだけで投資で勝つということは難しくなっているわけです。

結果として、プロ投資家・ファンドマネージャーといえど投資で市場平均に勝ち続けることは難しくなっているわけです。

市場平均を作るのもまたプロ投資家

それでも市場平均に勝ちたくなる気持ちはわからなくもないですが、ちょっと良く考えたほうがいいかもしれません。 株式市場のプレーヤーの大多数がプロ投資家なら、株式市場の平均を作っているのもほとんどプロ投資家だということにはならないでしょうか?

インデックスは市場で日々活動しているプロ投資家の活動の結果であることは認識する必要があります。 指数のベースとなる市場平均を形作っているのがプロ投資家の売買であるなら、それはもうプロ投資家同士が勝負しているようなものです。

スポーツなんかでもそうですが、地方リーグ勝ち上がった強い人を集めてプロリーグを作ったら、これまで地方リーグで上位の成績だったからと行ってプロリーグの平均より上に行くのは難しくなりますよね? リーグ全体がプロなんだから、そのリーグの平均と勝負するのはプロと勝負してるのと変わらないわけです。

こうした点からも、プロ投資家といえど市場平均に勝ち続けることは難しくなっているわけです。

資産運用は敗者のゲーム

いかにミスをしないか

前述したように、プロ投資家であるファンドマネージャーであってもインデックスファンドの投資成果に勝ち続けることは難しくなっているわけです。 こうした状況下で成果を出すには、なにか一つのきっかけで大勝ちすることがそもそも困難になってきています。

金融市場はあくまで売買の世界なので、短期的には誰かが得をしているということは反対側で誰かが損をしているわけです。 買い付けるほうもプロなら売る方もプロであって、そこはささいな見落としやちょっとした考慮漏れで損得が生まれているにすぎないわけです。

結果として、ミスをしたプレーヤーから負けていくゲームになっているわけですね。

じわじわ効いてくるコスト

こうしたミスをしないほうが勝つゲームにおいては相対的に差がつきにくく、結果としてコストの大小の割合が大きくなります。 運用によって利益が出たとしてもそれを達成するためのコストが大きい場合は最終的なリターンは小さくなります。

大きく勝ちにくくミスをしないほうが勝ちやすいという状況では、仮に1%未満の差であるとしても運用にかかるコストが高くついてしまうアクティブファンドは、他でインデックスに勝ちにくいため分が悪いわけです。

投資素人がインデックス投資をするべき理由

最後にタイトル回収です。

投資素人がインデックス投資をするべき理由は大きく2つでしょうか。

  1. 多くのアクティブファンドはインデックスファンドに勝てない
    • 長期的に見ると市場平均であるインデックスに勝てないアクティブファンドは多く、勝てるアクティブファンドを見極めるために専門知識が必要
    • あなたが勝てるファンドを見極められるのであれば、あなたは素人ではなく立派な専門家です
  2. 手数料が安い
    • 運用成績がどれだけ良くとも、アクティブファンドには人もコストもかかっている関係上、どうしても手数料が高くなる

私のような素人が調子乗って株式売買で儲けようとしても、プロ投資家にカモられるのがオチなのは目に見えてますし、アクティブファンドに手を出そうにもそもそも良いファンドを見つけられるだけの知識もないので、これまた勝算は低くなりそうですね。 というわけで、投資素人がなにかやるならインデックス投資で市場平均に連動するように投資して、指数・市場の成長のおこぼれをちょっとばかり預かるくらいがちょうどいいという話だと思います。

本書はもっと多くのポイントや現象に関する解説が書いてありますが、自分が読み取ったのはだいたいこんなもんです。

感想

以上、頭の整理がてら書いたメモでした。 難しい本ではありますが、ちゃんと理解すれば非常に興味深い内容が書かれています。

本書には、インデックスファンドがなぜ良いのか?他のファンドと比較などが論理的に語られています。 NISAやIDECOをやっていなかったり、株式市場に明るくないとなかなか触れることがない世界ではありますが、その分知らないことだらけで面白いと思いました。

まあ、指数がないような範囲で投資信託を買おうと思ったらアクティブファンドにするしかないですし、アクティブファンドが平均に勝ちにくいとしても投資元本より儲かってるならそれはそれは価値があるよな、なんてことも思いながら読んでました。

なにはともあれ、みなさまも読書の秋のお供にいかがでしょうか?