「自分、自己肯定感が低いかも」と思ってる人は世の中結構いらっしゃるんじゃないでしょうか? この自己肯定感ですが、教育の観点でも結構重要なテーマになっているようです。
自分は自己肯定感ってそもそも何だ?とあまりよくわかっていなかったのでこちらの本で勉強してみました。
そんなわけで今回は、自己肯定感について勉強してみたのでそのメモです。
自己肯定感は高いと嬉しいが、日本人は低くなりがち
自己肯定感とは
そもそも、自己肯定感ってなんでしょう?本書によるとこんな感じに書いてあります。
自己肯定感とは、自分のことが好きという感じ方であり、そのままの自分を認められる、受け入れられる、という感覚です。それはまた、今のままの自分が愛おしい、大切だ、好きだ、と感じられるということです。
一生使える!プロカウンセラーの自己肯定感の基本
良いとか悪いとか他人と比較をすることなく、無条件に自分自身のことを受け入れられる感じ方・考え方を自己肯定感と呼ぶようですね。 「自分のこと好き?」と問いかけたときに、好きと感じる度合いのこととも言えそうですね。
たまに「なんだかよくわからないけど、自分のことが好き」という感じの人がいますが、そういう人は自己肯定感が高いという、そんなイメージですね。
自己肯定感が高いと嬉しいこと
なんで自己肯定感が高さが大事かというと、自己肯定感が高いとその人の考え方や行動に影響を及ぼし、何らかの結果に影響を与えるからです。
自己肯定感が高いメリットとして
- 良好な人間関係を築くことができる
- 学習成績が上がる
- 失敗を恐れにくくなる
などのことがよく挙げられています。
自己肯定感が高いとポジティブな思考になりやすく、それによって人間関係が良くなったり、積極的な行動が発生することで良い成績・結果につながりやすいということのようです。
自己肯定感 vs 自己効力感
ところで、自己肯定感よく似た単語に自己効力感というものもあったりします。
自己肯定感とは、先にお伝えしたように、今のままの自分のことが愛おしい、大切だ、好きだという感覚のことです。それに対して自己効力感とは、特定の事柄についての能力に関する自己評価を指します。
一生使える!プロカウンセラーの自己肯定感の基本
自己効力感は特定の事柄についての能力の自己評価であり、自己肯定感とは別物なわけです。 この自己肯定感と自己効力感を混同してしまうと、「自己肯定感を高めるために〇〇のスキルを身につけよう」みたいなことを考え、「頑張ったけど自己肯定感は一向に変化しない」みたいに感じてしまうこともあるようです。
「自己肯定感と自己効力感は別物で、自己肯定感を高めると幸福度が上がるよ」という話なので、幸福度合いを上げるためには自己肯定感を高めていくことを考えなければなりません。
日本人は自己肯定感が低くなりがち
自己肯定感が高いと嬉しいのはわかりましたが、どうやら日本人は諸外国と比較して自己肯定感が低い傾向があるようです。
この調査(「高校生の生活と意識に関する調査」国立青少年教育振興機構、2015年)は、高校生に対して「自分はダメな人間だと思うことがあるか」を聞いています。何とも、直接的にたずねたものです。図表を見ると、日本の高校生の肯定率は、7割を超えます。次いで高いのは、中国の56.4%。これに、米国45.1%、韓国35.2%と続きます。社会によって違いがあることがわかります。 【データで語る日本の教育と子ども】 第3回 自己肯定感が低い日本の子どもたち-いかに克服するか - 研究室
こうした日本人の自己肯定感の低さに関しては、我々が育ってきた文化的・教育的側面による影響が強いようです。 調べてみると下記のような理由などが上げられます。
子どもが小学校に上がると、子どもの生活の中心は「家庭と家族」から「学校と友だち」へと変化します。同時に学校では周りの子どもと比較されることが多くなります。テストの点数、成績表の評価、絵や習字の出来不出来、運動面の能力など、あらゆる場面で「上下優劣」をつけられるようになるのです。
日本人の自己肯定感は本当に低いのか?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
何らかの物差しで優劣をつける際に、子どもの頃から自己肯定感が低下していくようです。 (競争などはどの国にもあるはずなので、日本はどこか強みより弱みを注目するような国民性などが影響してるみたいです)
また、日本人は「謙虚」であることを美徳とする文化があり、どこかが優れていてもどこか劣っている部分に目を向けて「〇〇がダメだからまだまだ」というふうに考えることを小さい頃から刷り込まれています。 さらに、「空気を読む」といった文化もあり、長所があっても目立たず過ごすように育ってきた背景も原因があったりします。
そんなこんなで、自己肯定感が高いと嬉しいことが多いことはわかっているが日本人は全体的に自己肯定感が低くなりがちで、幼少期から刷り込まれてきたものであることが多いことからなかなか解決が難しいというのが現状のようです。
自分の自己肯定感を高める
さて、自己肯定感が高いと嬉しいのに、日本人はどうにも自己肯定感が低くなりがちに育ってしまうので、ある意味しょうがないということはわかりました。 ただ、自分のパフォーマンスを高めるという観点で言えば、自己肯定感が低くなりがちなのはありますが、どうにか改善していい方向に持っていきたい気持ちもあります。
間違った自己肯定感の高め方
本書ではよくある自己肯定感の高め方は意外と間違っているといいます。
まず、自己肯定感を高めるための方法として、これから紹介する五つがよく使われます。しかし、それらの方法では実際のところ自己肯定感は高まりません。初めにその五つの方法をみてみましょう。
一生使える!プロカウンセラーの自己肯定感の基本
5つの方法とは
- 人から好かれようとする
- 自分を好きになれる条件を集める
- 自分の長所を見つけ、自分をほめる
- 他人を見下したり、自分がいかに優れているかを考えたりする
- 過去のことは考えないようにする
だそうで、理由は様々ありますが、自己肯定感を高めるのには残念ながら繋がらないそうです。
自己肯定感を高める
「じゃあどうすりゃ良いんだ」ってツッコミが入りそうですが、本書にはちゃんとその回答が書いてあります。
本書に書かれている自己肯定感を高める正しい方法はこのようなやり方があるそうです。
- 思い込みを見直す
- 人に無条件で優しさを提供する
- 人の優しさを素直に受け取る
- 正しいことより、楽しいことや心地よいことをする
- 自分の長所をほめるのではなく、自分に感謝する
- 自分を責めず自分に優しくする
- プロのカウンセリングや心のセラピーを受ける
具体的な中身については本書を読んでもらうとして、間違った高め方とは異なる方法であることがわかります。
自己肯定感を正しく捉えるにはどうすればよいか考える
自己肯定感が低いと感じる人に対して、自己肯定感がなかなか向上しないのは正しく自己肯定感を捉えられていない可能性があります。
自己肯定感が低いと感じる人は、育ってきた環境や経験に基づく原体験が原因になっていたりします。 そして、こうした経験に起因する自己肯定感の低さは先入観や思考プロセスのレベルで染み付いてしまったものです。
こうした先入観や思考プロセスを持った人は長所を見ようとすると同時に短所が頭に浮かんできてしまいますし、好きになれるポイントを探そうとするとダメなポイントを見つけてしまうわけです。 「これまでこうやって考えてきた」という思考プロセスで考えているだけだとどうしても見かけの自己肯定感の向上にしか繋がらないのかもしれません。
自分の事が好きかどうかは別に他人と比較するものではないですし、自分の長所が見つからないと存在しないものではないはずです。 無意識のうちに他人と比較したり、ネガティブな要素を重視してしまったりする思考を見つめ直すのが自己肯定感を正しく捉えることに繋がるんだろうなと思います。
参考文献
こちらの文献を参考にさせていただきました。
感想
日本人は、国民性・学校教育的に自己否定をしやすい国民なのは間違いありません。 「周りに合わせる」ために「周りと違う自分を矯正する」という教育は一種の集団行動の能力の醸成とも言えますが、過度な自己否定を生みかねないのもまた事実なわけです。
すでに中等教育を終えてしまったり社会に出られてしまった方は、叩き込まれた教育によるある種の先入観はなかなか拭い去ることは難しいかもしれません。 だからこそ、自己肯定感を正しく捉えて「こういうふうにも考えられるかも」と考え直すことで、自己肯定感を高めるしかないわけです。
なかなか学校で教えてくれることではないので、勉強になりました。